<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第3回 復興の現場から見える風景とこの時代に生きる私たちの役割(10/20)

第3回「ふくしま未来学入門」の講師は、浪江町役場 産業振興課 産業創出係長の小林直樹さんでした。

浪江町は、福島県の最東端に位置し、大堀相馬焼や地酒、魚介類など多くの特産品がある豊かな自然や文化が根づく町です。東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故により、全町避難を強いられましたが、今年の3月31日に一部区域を除く区域が避難指示解除されました。

 

今回、小林さんには、「復興の現場から見える風景とこの時代に生きる私たちの役割」というテーマでお話いただきました。小林さんは、東日本大震災において、地震・津波そして原発事故というこれまで誰も経験したことのない未曾有の災害を、役場職員として最前線に立ち、住民の声を受け止め、復興の意味を再定義しながら、これまでの価値観にとらわれない新しいまちづくりの方向性を見いだしてこられました。

 

原発事故の影響により、全国に広く町民が分散避難をした浪江町。避難生活自体が災害であり、町民の方々は不安や後悔を抱えながらも、震災から約6年半以上が経過したいま、町や避難先などのそれぞれの場所で、新しい生活が始まっています。だからこそ浪江町では「ひとりひとりの暮らしの再建」をめざし、安心して生活ができる選択肢をつくり、実際にその選択肢を選べるようにする。選択の自由を保障するしくみをつくる。そのために、住民ひとりひとりの声を細やかに聞く。受け止める。それは、国でも県でもない、「自治体職員」だからこそできることで、住民を守る最後の砦であると、小林さんは言います。「戻る・戻らない」と両極端で考えるのではなく、「考え方の違う他者」や「他者の不安」を認めながら、ふるさとの再生をめざしていくこと。それを「復興」の再定義とし、協働による課題の解決をめざして、浪江町民ひとりひとりが前に進んでいます。

そして最後に、小林さんは、この言葉を受講生に問いかけました。

「あなたは、この時代をどう生きますか?」

小林さんは、役場職員としてはもちろん、ひとりの人間として「個」のあり方も問われたのが、東日本大震災であり原発事故だったといいます。これまでの社会システムが破綻しつつあり、経済性では計れない地域の豊かさの再認識や多様なアクターが支える社会への転換が求められている時代。この時代に生きる私たちが、この社会で起きていることに対して、他人事感を克服し、「当事者」として乗り越えていくことが求められている、と次世代への責任として小林さんは受講生に強く語りかけました。

学生からは、
「『復興』というと町のことしか考えることしかできなかったけど、ひとりひとりの暮らしを作り直していくということも復興につながるということがとても感動した」、「楽しみながら復興をめざしているというお話を聞いて、一度、浪江町の様子を見てみたいなと思った」、「自分の中で少し『関係ないや』とか『政府がやらないからだ』とか、他人事のように考えている自分がいたことに気づいた。当事者としてもっと震災について知り、関わっていきたいと改めて考え直してみようと思った」
という声が聞かれ、小林さんのお話を聞きながら、受講生は自己を見つめ直し、社会の中にあるさまざまな問題に対して、自分事として考える時間になったと感じます。

小林さん、貴重なお話をありがとうございました。

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開講して3年目となる「ふくしま未来学入門」は、学類・学年を問わず受講できる科目で、地域課題の解決をめざし行動する個人や企業などを講師としてお迎えし、その実践的な取り組みや経験について学びます。また、震災と復興における社会問題や諸現象に対し、学問領域の枠組みを超えて多角的・総合的に考える能力を養うことをめざしています。
「他県や外国の方に今の福島のことを聞かれた際にしっかりと現状を伝えられるようになりたい」「大学4年間で自分がどのように福島に関わっていくかを見いだしたい」など、福島のことを知り何かしたいという動機から、250名を超える学類生や留学生、公開授業に申し込みいただいた35名の方が受講しています。

平成29ふくしま未来学入門授業スケジュール http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1903

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