<教育>【むらの大学】川内村フィールドワークを行いました(6/24)

6月24日(土)、地域実践学習「むらの大学」で受講生32名が、川内村を訪問しました。
今回のフィールドワークの目的は、「川内村の“いま”を肌でじっくりと感じ、農業・歴史文化・生活の各テーマにおける現状と課題をつかむ」ことです。

はじめに、川内村役場除染係の野内さんに牛淵仮置き場をご案内いただきながら、「除染とは何か」「仮置き場とは何か」を実際に自分たちの目で確かめました。川内村では、国(環境省)直轄の除染と自治体除染あわせて10箇所の仮置き場(フレコンバッグ合計26万個)があり、除染担当者が日々、除染廃棄物の処理・管理を適切に行っています。村内での安全・安心の生活を早急に取り戻すために、除染と仮置き場の設置において住民の素早い協力と強い要望があったという川内村。現在、中間貯蔵施設への廃棄物の移動が始まっていますが、トラック一台で運搬できる数に限りがあることなどから、こうした状況は、今後数年間は続くという実態があり、忘れてはならないということを学びました。

 

その後は、「農業」「歴史・文化」「生活」のそれぞれのテーマで分かれて活動を行いました。

■農業
農業班は、株式会社緑里の河原修一社長に、現在の取り組みと今後の課題についてお話を伺いました。株式会社緑里(以下、緑里)は、故郷の農地と農業の再生のために、平成27年に設立され、農産物の生産加工、農作業の受託を行っています。昨年から力を入れて取り組んでいるのが、「エゴマ」の栽培と加工です。エゴマ油はα-リノレン酸が豊富に含まれ、認知症予防や視力回復などに効果があることから、全国的にも注目されています。今回受講生は、川内村における農産物の生産・加工・販売の一連の現状と課題を学ぶために、はじめの取り組みとして、10~15㎝程の小さなエゴマの苗を、5000本ほどひとつひとつ丁寧に植えました。その後は、実際にエゴマ油を使用したパスタをいただき(大変美味で、受講生は大満足でした)、エゴマの味を確かめ、エゴマの活用方法やどのような加工品が考えられるか思いをめぐらせました。

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、一時避難を余儀なくされ、村民がバラバラになったことなどから個人で農業を行うことが限界に達した川内村。そうした現状を受け、河原社長は「農業はみんなでやるべきだ」「みんなで笑って農業をやっていこう」という想いで緑里を立ち上げました。そうした河原社長の想いに、受講生は深く感銘を受け、共感し、川内村に対して自分たちができることは何かを、自分自身に問いかける時間となりました。

 

■歴史・文化
歴史・文化班では、川内村高田島(第一行政区)の遠藤公明さんに、原発事故避難時の状況と対応、三匹獅子舞の保存継承についてお話を伺いました。この高田島では、原発事故後の混乱や避難のなかでも、「伝統ある祭りをここでやめるわけにはいかない」「村民みんなの交流の機会である」という強い想いから、震災の年もお祭りを開催しました。受講生は遠藤さんから、「“少ない”と言われる子どもの具体的な数」や、舞の継承方法を聞き、約400年の歴史を持つ川内村の三匹獅子舞の保存と継承における課題の大きさと深刻さを痛感しました。また、三匹獅子や神楽を奉納する高田島の諏訪神社を実際に訪れ、歴史や神秘さも感じられる諏訪神社を前に、実際に舞やお祭りを見てみたいと、期待を膨らませていました。

また、川内村ではいま、官民が協働して取り組む「ワインの里」づくりが本格化しており、遠藤さんは、そのワイン推進協議会の会長も担っています。震災当時に経験をしたつらい想いや状況を乗り越え、再び立ち上がろうと、この取り組みに賭ける遠藤さんや村の方々の気概を感じ、この取り組みは、川内村の新たな歴史を刻むものになるのではと思いました。

 

■生活
生活班では、川内村役場保健福祉課の猪狩恵子係長と、婦人会の秋元洋子会長に、川内村における震災前後の住民の生活環境についてお話を伺いました。訪れたのは、「複合施設ゆふね」。この施設は、村の保健福祉課と社会福祉協議会、国保診療所の3つの組織が協働運営し、保健・福祉・医療が一体となり、村民の健康や暮らしを守っています。
猪狩係長は、避難時や帰村前後において、村民の身体と心の健康を守るために、放射線の不安に対する事業や介護予防事業、心のケア事業などを行いながら、村民ひとりひとりの声や状態に寄り添ってこられました。秋元会長は、震災の年から翌年にかけて、農産物直売所「あれ・これ市場」の施設を借りて、「いつでも人が戻ってこられるように」と川内村に明かりを灯り続ける場所「ひまわり」をつくり、現在は婦人会の会長として村内のコミュニティを支える大きな役割を担っています。

避難により、家族のつながりが希薄化するなどの問題が生じている川内村。しかしその反面、地域の見守りの目が育ってきているといい、少子高齢化が顕著に進むなかの新たな「自立」のあり方を模索していくことが課題であると分かりました。猪狩係長も秋元会長も、「川内村はあたりまえの素晴らしさに気づける場所」と言い、お二人の川内村への愛を強く感じました。

 

最後は、「いわなの郷」を訪れ、今回のフィールドワークのふりかえりを行いました。受講生は事前学習で学んだ川内村の概況と実際に見聞きした情報にはギャップがあることを感じ、新たな気づきや課題を見つけました。これから受講生は、今回のフィールドワークで得た情報や経験、学びをさらに深める夏のフィールドワークにむけて、事前学習と準備をすすめていきます。
川内村のみなさん、ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします。


<南相馬市フィールドワークの様子>
http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1806

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