<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第13回 「風評対策に向けた新たな試み」(1/27)

昨年度開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業や個人などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うことを目指しています。今年度は、337名の学生と、公開授業にお申込みいただいた25名の一般の方が受講しています。
(H28ふくしま未来学入門授業スケジュールhttp://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

 

第13回の「ふくしま未来学入門」は、
福島学院大学 准教授 木村 信綱氏
飯坂温泉「祭屋湯左衛門」若旦那 柳沼 公貴氏(若旦那プロジェクト実行委員会 会長)
土湯温泉「ホテル山水荘」若旦那 渡邉 利生氏(若旦那プロジェクト実行委員会 前会長)
3名の方にお越しいただきトークセッションをおこないました。

 

今回のテーマは「風評対策に向けた新たな試み」
福島県の産業の柱のひとつが、観光業です。かつて、修学旅行をはじめ多くの観光客が訪れていました。近年、それまでにぎわっていた温泉街へ訪れる観光客もゆるやかに減少していたものの、さらに原発事故をきっかけとして大きな打撃を受け、観光客が激減しました。
いまだにその影響がつづく中、その風評被害払拭のために新しい取り組みとして注目されたのが「若旦那図鑑」です。

 

若旦那図鑑とは
土湯温泉を紹介する観光ガイドブックをつくろうということで、福島学院大学の木村先生に若旦那から相談がありました。そこで冊子をつくることを手段に、それで何を成し遂げたいのかを何度も話し合い、コンセプトを明確にし、ゼミ生などと一緒につくりあげたものがこの「若旦那図鑑」。

このガイドブックは、土湯温泉をPRする本であるにも関わらず、露天風呂や客室、豪華な料理の写真はもちろん周辺の観光地の案内もありません。あるのは、土湯温泉の若旦那の写真です。できあがった当初、「若旦那図鑑」を見た若旦那のみなさんは、恥ずかしくて旅館においておけないと思ったそうですが、どんどん問い合わせが殺到してきました。

そのうち、他の温泉地でもマネしたいという声が上がったのですが、その取り組みをマネさせたくないという抵抗もありました。その中で、木村先生は「若旦那図鑑が手に入れた宝に賞味期限がある。おいしい料理もいずれ腐るように、話題になっている「若旦那」という言葉もいずれ忘れられる。そのために、”今”使わなくてはいけない」と、説得したのだそうです。この考え方はどのような業界でも当てはまり、その判断をする決断も場合によっては必要です。

ライバルに自分たちが作ったブランドイメージを共有することはなかなかできないことですが、今では土湯温泉に加え飯坂温泉・岳温泉・高湯温泉が連携し、「ふくしま若旦那プロジェクト」が発足しました。
若旦那たちは、日常の旅館の業務を終えたあと、夜遅くに集まり会議を重ね、熱い想いで「若旦那図鑑」をつくっています。4つの温泉地で連携した「若旦那図鑑ditt’s」は、市内各所で配布中です。

 

応援したい気持ちをデザインする
この「若旦那図鑑」の取り組みをとおして、冊子は手段のひとつで、消費者の「応援したい気持ちをどうデザインするか」という考え方に共感した学生も多く、斬新なアイデアと取り組みに引き込まれる授業でした。「ネガティブなイメージで話題になっていることをチャンスと捉えていることに感銘をうけた」「自分も今がやりたいと思っていることをやろうと決めることができた」「ライバル同士が協力してより良いものを創っていくという考え方が参考になった」といった声が多く聞かれました。

「風評被害」の対策として、正しく情報を提供することも方法のひとつですが、この「若旦那図鑑」のようにそこで頑張っている人を伝えることで、多くの人の興味関心を持ってもらうことによる波及効果を感じました。

 

「ふくしま」としての総合力を高める
また、マイナスのイメージをプラスに転換していくときに、個々に頑張ることももちろん大切ですが、全体の底上げをしていくことも求められています。それは、原発事故で打撃を受けたのは「ふくしま」という全体のブランドイメージだからです。
今回、4つの温泉地が連携した「ふくしま若旦那プロジェクト」の取り組みをとおして、「ふくしま」としての総合力を高めることが、風評被害の払拭につながっていくのだと感じました。

震災・原発事故をきっかけに、これまでゆるやかに下降していた人口や観光客の減少、環境問題などの課題が一気に顕在化したことで、それまであったその問題を自分たちの課題として改めて自覚するようになりました。今、福島でおきていることは福島のみならずどの地域にもあてはまります。

今日の講義をとおして、課題解決に向けた課題や解決策のとらえ方、そのための取り組みについて、新しい視点を持つことができたことは、これからどの分野でも必ず参考になると感じた授業でした。

木村先生、柳沼さん、渡邉さん、どうもありがとうございました。

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●ふくしま若旦那プロジェクト
Facebookページ

●土湯温泉 若旦那図鑑
http://wakadan.com/magazine.html

●土湯温泉 若旦那BAR 005(2016年11月オープン)
http://www.gurutto-fukushima.com/detail/index_502.html

●土湯温泉 ホテル山水荘
http://www.sansuiso.jp/

●飯坂温泉 祭屋湯左衛門
http://yuzaemon.jp/

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