<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第12回 「復興支援からの地域づくり」(1/20)

昨年度開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業や個人などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うことを目指しています。今年度は、337名の学生と、公開授業にお申込みいただいた25名の一般の方が受講しています。
(H28ふくしま未来学入門授業スケジュールhttp://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

第12回の「ふくしま未来学入門」の講師は、
田村市復興応援隊の小林奈保子さんと、双葉町復興支援員の芳門里美さんのお二人でした。
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今回のテーマは、「復興支援からの地域づくり」。
特に、小林さんからは「”つなげる”という支援」、芳門さんからは、「妄想から始まるコミュニティ支援」というテーマでお話いただき、その後、丹波史紀准教授をコーディネーターにディスカッションを行いました。

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小林さんは、福島大学の卒業生で、一般企業に就職後、2013年に出身の田村市に戻り、田村市復興応援隊に入隊しました。
田村市は人口約37,000人の町で、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、都路地区(旧都路町)全域が避難指示を受け、一時避難指示解除準備区域に指定されました。その後、2014年4月に避難指示が解除され、住民が帰還を始めました。
田村市復興応援隊の仕事は、主に4つ。ひとつは、帰還した地域住民の思いを実現するサポート。ふたつめは、市や地域住民が主体となる事業のプロジェクト運営支援。3つめは、田村市外・県外の方向けのボランティアやツアー企画。最後にHPやFacebook等での情報発信です。いずれも、応援隊が目指していることは、「(住民が)田村に生まれてよかった」「(外から来た方が)田村っていいね!」と誰もが話すまち。

小林さんは、「復興女子」と呼ばれ、住民からも田村市外や県外の方からも親しまれ、田村市の”顔”とのなってきた存在。しかし、そのなかでも小林さんは、常に「田村にとって必要なことは何か?」を考え続け、葛藤しながらの日々だったそうです。それは、帰還してもなお原発事故の影響を受け、住民同士のつながりが分断された状態が続いていたこと、帰還から月日が経てば経つほど「復興とは何なのか」住民も小林さん自身も分からなくなったことからでした。
そうしたなかで見えた活路は、田村市外や県外の方に田村市に来てもらうことで、住民が「集まる機会」をつくること。外から来る人をきっかけに、住民が主役になる場が生まれ、住民と住民がつながる場が生まれ、住民から「こんなことしたい」という前向きで自主的な動きが生まれたと言います。そうした「他者とのつながりあい、その先に”希望”が見える状態」がコミュニティを再生することであると、小林さんは力強くお話していました。

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芳門さんは、東京都出身で、卒業後にシステムエンジニアとして働いた後、東北地方での活動をきっかけに、2013年より双葉町「ふたさぽ」の復興支援員として、双葉町のコミュニティ支援を担当しています。
双葉町は、人口約7,000人の町で、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、町全体の96%が帰還困難区域に指定され、今もなお、全町民が全国各地(38都道府県)に避難しています。コミュニティの分散、世帯分離により、世代間交流の減少や地域交流の減少が大きな課題となっています。
そうしたなかで、復興支援員から見た双葉町の課題は、住民から「(○○が)無くなった」「(○○が)できなくなった」という声が聞かれること。芳門さんは、復興支援員の存在を「住民の生活に寄り添う、その時間や空間に溶け込むこと」だといい、「無くなった」が「これならある!」、「できなくなった」が「これならできる!」という住民の声に変えることが、私たちの仕事だと言います。

避難生活が6年続き、離ればなれになっている住民からの代表的な声として多くあるのは、「ふるさとの今を知りたい」「双葉のみんなに会いたい」ということ。そうした声に応えるべく、ふたさぽでは、「若者が町に関わることの場づくり」や「復興支援員が見た町民の姿を避難先の住民に報告・動画を上映する」という取り組みを行っています。町の若者が町に関わる活動をすることで、町民が喜ぶ。町民が町民に直接言葉を伝えたり、姿を見せたりする。そうした、町民の声を支援員が町民に対して近くで客観的に伝えながら、町民同士が、話を聞く・伝える場づくりをすることが、コミュニティ支援に必要だと言います。
そこで、住民の方々に寄り添う側に大事なのが、「妄想力」。町民のどんな姿を見たら自分が楽しいかを妄想する。そのときの町民のニヤニヤした表情を妄想する。「○○しなければ」ではなく「○○したい」を考え実行に移す。困難な状況だからこそ、そうしたポジティブに未来を描き、できることを積み重ねることが、人々に希望と進む勇気を与えるのだと考えさせられました。

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学生からは、「お二人に共通していた”きっかけづくり”が必要だと分かった」「”復興”にこれが正解というのはないと思った」「震災の被害は特定の場所だけと思っていたが、目に見えないだけで、被害を受けた地域は想像以上に広いと気づいた」「講義を聞いて、いつまでも復興だ、支援だと言うのではなく、第三者でいることや受け身姿勢でいることは良くないと思った」という感想が聞かれました。震災から7年目に入ろうという今も、地元やその町の方々に寄り添い続ける若い女性のお二人を身近に感じた学生も多く、「自分の地元のために何ができるのかを考えたい」と、学生たちは、自分に置き換えて考えていたようでした。

小林さん、芳門さん、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

★田村市復興応援隊:http://tamura-ouentai.org/ 
 (運営団体: NPO法人コースター http://costar-npo.org/
★双葉町復興支援員(ふたさぽ): https://futasapoblog.wordpress.com/
 (運営団体: 一般社団法人RCF http://rcf311.com/

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