<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第5回 南相馬市の現状と復興に向けた取り組み(11/11)

昨年度開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業や個人などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うことを目指しています。
今年度は、337名の学生と、公開授業にお申込みいただいた25名の一般の方が受講しています。
(H28ふくしま未来学入門授業スケジュール http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

第5回「ふくしま未来学入門」の講師は、南相馬市長の桜井勝延市長でした。
平成22年より南相馬市市長となり、現在二期目の桜井市長。震災当時、被災した南相馬市の窮状や支援等をYouTube等にて訴え、米国タイム誌から「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれました。
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南相馬市は、平成18年に旧小高町、旧鹿島町、旧原町市が合併して誕生しました。そこが原発事故によってどうなったのか・・・。
今回は、「南相馬市の現状と復興に向けた取り組み」と題し、震災・原発事故から5年8ヶ月たった南相馬市の現状と、震災直後の市としての判断、その後の取り組みについて市長の想いをお話しいただきました。
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南相馬市は、津波の被害も大きく636人が犠牲になり、その中にはまだ行方不明の方も多くいます。
さらに、震災関連死は、現時点で489人と福島県で最多、現在も増えています。避難を余儀なくされた中で、年配の方、入院患者、特別養護老人ホームの方等は事故後6ヶ月の中で、318名亡くなったそうです。

南相馬市は平成23年、東京電力第一原子力発電所の事故をうけ、原発からの距離が半径20km圏内、20~30km圏内、30km圏外というように線引きされました。そして、それは20km圏内が小高区、20~30km圏内が原町区、30km圏外が鹿島区と、おおよそ合併前の自治体と同じ区域で分断されました。この線引きによって、義援金がもらえる区域とそうでない区域ができ、賠償金の金額にも差が生まれたことで、住民の中に分断が起きました。そして、住民たちのどこに向けたらいいのかやり場のない怒りや不満は、自治体の職員などに向けられるという構図が生まれ、職員が疲弊し、現場を去っていった方も多いそうです。

原発事故によって避難を余儀なくされたことで平穏な暮らしを奪われ、賠償金の差がによって住民同士に溝ができるなど、原発事故がどれだけ人々の心や命を疲弊させていったのか、熱く語ってくださいました。
学生も、「同じ国の隣県で、あの日から何が起きて何が変わっていったのか、メディアでは知る事のできない現実を知り、改めて震災の恐ろしさや悲惨さ、その中で生きてきた人々の心の傷と強さを知る事ができた」と、その過酷な現状と課題の複雑さを改めて感じたようです。
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南相馬市は、脱原発都市宣言をし、原発のエネルギーに依存しないまちづくりを進めています。
https://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/8,23464,75,html
原発立地地域周辺では、緊急時の避難計画が策定されますが、今回のように、「何かあったときに避難を余儀なくされるようなエネルギー政策はよくない」と語る市長の言葉を聞いて、そのリスクにはっとしたという学生も多くおり、改めて原発とはどういった存在なのかを考えるきっかけにもなりました。

南相馬市では、今年7月12日に帰還困難区域を除く全ての地域で避難指示が解除されました。
少しずつ前に進む中で、課題はまだまだ多くあります。

桜井市長の言葉に、「人が生きるために必要なのはお金だけではない。お金があるから立ち上がれるわけではない。人は、“何のためにいきるのか”、その答えを見つけた人が立ち上がることができる。」という言葉がありました。
それは、この震災や原発事故で起きたことを改めて考えるとともに、自分に何ができるのか、どのように覚悟を決めて行動するのか、自分自身をふりかえることにもつながりました。
そして、「いろいろなことを吸収できる、選択することの出来る今を、恥をかくことをおそれないでがんばってほしい」、という市長からの熱いエールは、学生の心にも深く刻み込まれました。

学生からは、「行政的な視点で、原発と住民の間で揉まれる当時の様子がリアルに伝わった」「原発の近くにある市町村が震災後、どんなに苦しい思いをしてきたのかが伝わった」という声が多く聞かれ、同じ市民でありながら、市や市民のために働いてきた市長はじめ職員の方々の大変さを強く感じたようです。

また、福島県にいても知らないことも多いのだと気づくことができ、「県民としてこの原発事故の実態をきちんと知って、将来この震災や原発事故からの教訓を活かした地域づくりができるような職業につけるよう4年間しっかり学んでいきたい」など、これからの学生生活でどのように学びを深めていくのか、考えるきっかけにもなりました。

桜井市長、おいそがしい中貴重なお話をしていただきどうもありがとうございました。
dscf8097授業後、南相馬市で活動している学生団体「うんとイイトコ南相馬!」のメンバーと記念撮影。

●南相馬市ホームページ http://www.city.minamisoma.lg.jp/

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