<教育>【むらの大学Ⅲ】フィールドワークで新潟県長岡市を訪問しました(9/14-9/16)

【むらの大学Ⅲ/新潟県長岡市フィールドワーク】
9月14日(水)~16日(金)にかけて、「むらの大学Ⅲ」の受講生15名と教職員で、新潟県長岡市を訪問しました。「むらの大学Ⅲ」は、地域課題が起こる背景を多面的に理解したうえで、地域の課題やニーズに基づく解決策(プロジェクト・提言)を立案・実行する授業です。これまで、学生たちは、「課題を解決するとは何か」「課題を深掘りするための考え方」などを学びながら、自分が関心のある地域課題について調査してきました。

今回は、今後のプロジェクト立案を見据え、新潟県中越地震からの復興における課題解決のモデルやそのプロセスを学ぶこと、そして地域課題を深く考えられるようになることを目的にフィールドワークを行いました。

新潟県長岡市は、2004年10月23日に起きた中越地震により甚大な被害を受けた地域です。学生たちは、震源地となった「旧川口町」と甚大な被害を受けた「旧山古志村」を訪れ、住民や支援者らが歩んできた復興への取り組みを視察しました。

【1日目】長岡市長岡駅前
長岡駅前にある「長岡アーカイブセンター きおくみらい」を訪問。ここには、発災から2年後の航空写真が床一面に広がっており、学生たちは、タブレット端末に表示される解説などを見ながら、中越地震の被害や復旧復興までの全体像を掴みました。
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次に、中越防災安全推進機構 復興デザインセンター長である稲垣文彦氏と、「にいがたイナカレッジ」の職員とインターン生にお話を伺いました。
稲垣氏からは、「真の復興」とは何か、復興12年の歩みのなかで見えた教訓と本質的な課題についてお話いただきました。過疎高齢化・人口減少における本質的な課題は、地域の喪失感であるとし、それを自分たちで補おうとする住民自身の「当事者意識の改革」にアプローチしてきた稲垣氏。その考え方や取り組みを聞き、学生たちはこれまで考えていた「課題」への認識が大きく変化していたようでした。
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「にいがたイナカレッジ」では、中越地域の担い手確保や育成を目的とするインターンシップ(Iターン留学)を行なっています。お話いただいたのは、インターンシップのコーディネートなどを行う野村祐太氏、十日町にある直売所「千年の市じろばた」で今年4月からインターンシップに参加をしている田之岡志保氏です。
野村氏らが行うインターンシップは、「集落単位」で若者を受け入れ、テーマや課題(ゴール)を設定したうえで若者が地域で働くことにより、「地域や人に共感する人を増やすこと」と「地域が主体的になること」をめざしています。野村氏の地域への働きかけによって、集落における「受け入れ力」が高まっていることが感じられ、若者を受け入れる体制や文化づくりの重要性も学びました。
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田之岡氏は、岩手県出身で宮城県内の大学に在住する4年生。田之岡さんは、じろばたにおける野菜づくりや出荷の手伝いのほか、「人との関わりを生み出す空間づくり」を学ぶため、中越地域の様々な地域グループへ参画しています。「地元で人づきあいが好きな人を見つけ、自分自身がその人と仲良くなることが、外部から地域に人を呼び込むために必要なことだ」と教えていただきました。
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最後に、旧山古志村種苧原集落にある「かたくりの会」に立ち寄りました。「かたくりの会」では、「山古志村に訪れた人へのお土産品を作ろう」と震災後お母さんたちが自主的に集まり、手作り品を作っています。山古志村で昔から大切にされている錦鯉や山古志牛、震災後に寄贈され今や一大観光資源になっているアルパカの人形・ストラップなど、本当に可愛らしいものばかり。住民の方々の山古志への愛情や誇りを感じ、「住民自らが地域を元気にする」こはどういうことなのかを肌で感じることができました。
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【2日目】旧山古志村
山古志村は、地震により全村避難を余儀なくされましたが、今でも美しい文化が根づく地域です。あいにくの雨模様のなかでしたが、早朝からぐるっと、地域めぐり。「山古志闘牛場」→「天空の郷(楢木集落)」→虫亀地区→木籠集落・郷見庵を回りました。
次に「やまこし復興交流 おらたる」の震災資料館を見学し、その後、山古志村で地域の課題解決にむけて取り組む4人の方々にお話を伺いました。
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●農家レストラン「多菜田」代表の五十嵐なつ子氏
五十嵐氏は、震災時に支援をしてくれた方への感謝の気持ちを、自分たちの元気な姿を見せることで恩返ししようと、山古志にある“食”と“かーちゃん”という山古志の宝物をかけあわせ、農家レストランを始めました。「地元のためになれていることがうれしい」と話す五十嵐氏の姿から、自分の生活も妥協せず、新しいことを追求し続けるという、新しく楽しい暮らしの形を感じました。
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●「山古志住民会議」代表の樺澤和幸氏
山古志住民会議では、地元の人たちやボランティアの方々が一緒になって、持続可能な暮らしをめざし、様々な方法で山古志のPRを行っています。今年から情報発信キャンペーンと総称して、「山古志博覧会」をスタートさせました。地域の人たちが先生になり、地元のツアーをするなど、コアなファンづくりのために、多様なコンテンツを試行錯誤しているそう。こうした地道な取り組みが、住民の意識を変えることにもつながっていることが分かりました。
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●「NPO中越防災フロンティア」事務局長の田中康雄氏
震災後、山古志村の路線バス廃止を受け、住民の足を確保するために、住民自らの手で「クローバーバス運行事業」を始めました。現在でも山古志に住む約80%の方々が会員となり、1日30本のバスを走らせています。中越防災フロンティアでは、その運行事務局を担うほか、雪かき道場などのホワイトツーリズムを行っています。こうした取り組みのなかで、地元の人たちにさまざまな仕事や役割を頼む・一緒にやる・続けることが、住民が主体的になり、地域が外部の人を受け入れる訓練になることを教えていただきました。
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●アルパカ村代表の青木勝氏
青木氏は震災後、アメリカから譲り受けたアルパカを、新たな地域産業にしようと、販売・動物の貸付・展示などの事業に取り組み始めました。アルパカ牧場では、5人の住民が交代で管理をしており、住民が空いている時間で働くことで、住民の収入になり、地域経済にとってプラスになると言います。高齢化が進む今の現実を受け止め、住民自身の手で地域を守っていく暮らしによって地方が成り立つという提言が必要と、熱く青木氏はおっしゃっていました。
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この夜は、視察のふりかえりと、学生たちが取り組んできた地域の調査計画の共有です。学生たちは、この2日間で得た学びを夜遅くまで議論していました。

 

【3日目】旧川口町木沢集落
木沢集落は、震災後の12年間で人口150人から半分に減り、現在集落内には子どもが1人もいない地域です。そのような中でも、若者を年間1,400人程受け入れるなど、地元の人たちと若者との交流を継続的に続け、「山の暮らし」の価値を広く外部に発信してきました。
はじめに、「フレンドシップ木沢」代表の星野正良氏に、交流による地域再生をめざして行ってきたこれまでの取り組みをお話いただきました。
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その後、里山ハウスに移動し、山の暮らし再生機構川口サテライトの佐藤瑞穂氏と、集落で1ヶ月のインターンシップを行っていた井上有紀氏にお話を伺いました。井上氏たちは、「百姓百貨店をつくろう!」というミッションのもと、住民と交流をしながら、地元の人たちの魅力や特技、地域の新たな価値を発掘し、住民ができることをお店にしたらどんな商品ができるか、「見えないものを商品にする」ことに挑戦。
生み出したアイディアは、里山ハウスの2階の部屋一面いっぱいに飾ってありました。住民の日々の暮らしの中から、大切なもの、外から来た人がみたら驚くようなもの、そうした小さなものをアイディアとして紡ぐ。本当に素晴らしい、夢のある空間でした。
●百姓百貨店に取り組んだインターン生の活動紹介はこちら
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最後は、住民の方に木沢集落内を案内していただきました。集落の誇りである二子山からは、八海山はもちろん、十市群も眺望することができるそうです。集落内を歩いていると、養鯉場や広大な畑、樹齢400年のけやきなど、数々の美しいものに触れることができました。
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この3日間、学生たちの中で「本当の地域課題は何なのか」を改めて考え、大きな認識の変化がありました。中越地域の現状や取り組みと、学生自身が取り組む地域の現状を比較しながら、地元の人たちが活き活きできるために、私たちはどう寄り添っていけるか。今後の「むらの大学Ⅳ」でさらに深めていきたいと思います。

このフィールドワークでお世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

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