COC公開授業

new!<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第3回 復興の現場から見える風景とこの時代に生きる私たちの役割(10/20)

第3回「ふくしま未来学入門」の講師は、浪江町役場 産業振興課 産業創出係長の小林直樹さんでした。

浪江町は、福島県の最東端に位置し、大堀相馬焼や地酒、魚介類など多くの特産品がある豊かな自然や文化が根づく町です。東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故により、全町避難を強いられましたが、今年の3月31日に一部区域を除く区域が避難指示解除されました。

 

今回、小林さんには、「復興の現場から見える風景とこの時代に生きる私たちの役割」というテーマでお話いただきました。小林さんは、東日本大震災において、地震・津波そして原発事故というこれまで誰も経験したことのない未曾有の災害を、役場職員として最前線に立ち、住民の声を受け止め、復興の意味を再定義しながら、これまでの価値観にとらわれない新しいまちづくりの方向性を見いだしてこられました。

 

原発事故の影響により、全国に広く町民が分散避難をした浪江町。避難生活自体が災害であり、町民の方々は不安や後悔を抱えながらも、震災から約6年半以上が経過したいま、町や避難先などのそれぞれの場所で、新しい生活が始まっています。だからこそ浪江町では「ひとりひとりの暮らしの再建」をめざし、安心して生活ができる選択肢をつくり、実際にその選択肢を選べるようにする。選択の自由を保障するしくみをつくる。そのために、住民ひとりひとりの声を細やかに聞く。受け止める。それは、国でも県でもない、「自治体職員」だからこそできることで、住民を守る最後の砦であると、小林さんは言います。「戻る・戻らない」と両極端で考えるのではなく、「考え方の違う他者」や「他者の不安」を認めながら、ふるさとの再生をめざしていくこと。それを「復興」の再定義とし、協働による課題の解決をめざして、浪江町民ひとりひとりが前に進んでいます。

そして最後に、小林さんは、この言葉を受講生に問いかけました。

「あなたは、この時代をどう生きますか?」

小林さんは、役場職員としてはもちろん、ひとりの人間として「個」のあり方も問われたのが、東日本大震災であり原発事故だったといいます。これまでの社会システムが破綻しつつあり、経済性では計れない地域の豊かさの再認識や多様なアクターが支える社会への転換が求められている時代。この時代に生きる私たちが、この社会で起きていることに対して、他人事感を克服し、「当事者」として乗り越えていくことが求められている、と次世代への責任として小林さんは受講生に強く語りかけました。

学生からは、
「『復興』というと町のことしか考えることしかできなかったけど、ひとりひとりの暮らしを作り直していくということも復興につながるということがとても感動した」、「楽しみながら復興をめざしているというお話を聞いて、一度、浪江町の様子を見てみたいなと思った」、「自分の中で少し『関係ないや』とか『政府がやらないからだ』とか、他人事のように考えている自分がいたことに気づいた。当事者としてもっと震災について知り、関わっていきたいと改めて考え直してみようと思った」
という声が聞かれ、小林さんのお話を聞きながら、受講生は自己を見つめ直し、社会の中にあるさまざまな問題に対して、自分事として考える時間になったと感じます。

小林さん、貴重なお話をありがとうございました。

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開講して3年目となる「ふくしま未来学入門」は、学類・学年を問わず受講できる科目で、地域課題の解決をめざし行動する個人や企業などを講師としてお迎えし、その実践的な取り組みや経験について学びます。また、震災と復興における社会問題や諸現象に対し、学問領域の枠組みを超えて多角的・総合的に考える能力を養うことをめざしています。
「他県や外国の方に今の福島のことを聞かれた際にしっかりと現状を伝えられるようになりたい」「大学4年間で自分がどのように福島に関わっていくかを見いだしたい」など、福島のことを知り何かしたいという動機から、250名を超える学類生や留学生、公開授業に申し込みいただいた35名の方が受講しています。

平成29ふくしま未来学入門授業スケジュール http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1903

<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第2回 福島の明日を創る(10/13)

第2回「ふくしま未来学入門」の講師は、「NPO法人富岡町3・11を語る会」代表の青木淑子先生でした。

震災の3年前まで富岡高校で校長をされていた青木先生は、震災を機に再び富岡町に関わり、「NPO法人3・11富岡町を語る会」を立ち上げ、語り人(かたりべ)として富岡町のこと福島のことを、国内外に伝え続けています。

「明日はどうやってつくるのか?福島の明日って何だろう?でも、明日は今日を知らなければつくれない。じゃあ、今日の福島をどれだけ知っているんだろうか?」そこから始まった今回の講義。

私たちにとって今日の福島を考えるにあたり、東日本大震災と原発事故ぬきには語ることはできません。
富岡町とはどんな町だったのか、避難時の状況や避難生活、そして現在の状況をお話していただく中で、受講生は自分たちが知っているのはほんの少しで、そこに暮らしてきた人たちのことやその想いを全く知らなかったということを思い知らされ、自分は、「今の福島」をどれだけ知っているのだろうか?と、改めてふりかえる時間となりました。

 

避難所や仮設住宅での支援の中で、人が顔を合わせることで考えが生まれ、何かが始まり、人の輪をつくるという経験から「頭で考えているだけではなく、行動していくことが何かを生みだす。行動することが大切」と語る青木先生は、2015年10月から「母校で校歌を歌い隊!」を結成しました。そして、毎月第3日曜日に富岡高校の2時46分で止まっている時計の前で慣れ親しんだ校歌を当日集まった方々と歌い続けています。いまだに一人になったことはないそうです。
また、富岡町が今年4月に帰還困難区域を除いた区域で避難指示が解除されたのを機に住民票を移し、富岡町に住んでいます。
実際に行動をし続けている姿に、自分たちも何か一歩をふみだそうと思う学生が多くいました。

受講生からは、
「自分の震災体験を思い出した。自分の待ちにずっといられただけ幸せだと思った」「初めて知る話が多く、衝撃で頭がまとまらない。福島に来た以上、学ばなければならないと感じた」「もっと震災のことを知り、自分の足でその地に行って、感じたことをより多くの人々に伝えたいと思った」など、今回の講義を機に、今、自分がおかれている環境への感謝の気持ちとともに、福島のことを知りたい・行動したいと思うきっかけになりました。

また、富岡町の話をとおして、浜通り、そして福島県、そしてそれを抱える日本、そのあり方と課題を感じ、「漠然と何か自分にできることはないかと思いながら講義を聞いていたが、自分が今の福島についてあまり知らないことに気づかされた」「もっと福島の現状に向き合いたい」と考えた学生も多く、この震災・原発事故を振り返り、より自分ごととしてとらえ、福島のことを学ぶ意味を改めて考えさせられました。

青木先生、貴重なお時間をありがとうございました。

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開講して3年目となる「ふくしま未来学入門」は、地域課題の解決をめざし行動する個人や企業などを講師としてお迎えし、その実践的な取り組みや経験について学びます。
また、震災と復興における社会問題や諸現象に対し、学問領域の枠組みを超えて多角的・総合的に考える能力を養うことを目指します。
「他県や外国の方に今の福島のことを聞かれた際にしっかりと現状を伝えられるようになりたい」「大学4年間で自分がどのように福島に関わっていくかを見いだしたい」など、福島のことを知り何かしたいという動機から、250名を超える本学の学類生や留学生、公開授業に申し込みいただいた35名の方が受講しています。

H29ふくしま未来学入門授業スケジュール http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1903

new!<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第1回 3・11後の福島を学問にする(10/6)

【「ふくしま未来学入門」がスタートしました】
開講して3年目となる「ふくしま未来学入門」は、地域課題の解決をめざし行動する個人や企業などを講師としてお迎えし、その実践的な取り組みや経験について学びます。
また、震災と復興における社会問題や諸現象に対し、学問領域の枠組みを超えて多角的・総合的に考える能力を養うことを目指します。
「他県や外国の方に今の福島のことを聞かれた際にしっかりと現状を伝えられるようになりたい」「大学4年間で自分がどのように福島に関わっていくかを見いだしたい」など、福島のことを知り何かしたいという動機から、250名を超える本学の学類生や留学生、公開授業に申し込みいただいた35名の方が受講しています。
(H29ふくしま未来学入門授業スケジュール http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1903

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第1回「ふくしま未来学入門」の講師は、立命館大学 准教授の開沼 博先生でした。

 

開沼先生からは、福島の大きな課題は「語りにくさ」にあるということが指摘されました。

決してひとくくりにはできない複雑な課題を抱える福島のことを、わかりやすく自分の言葉で伝え、誰もが語り合えることがこれからますます必要になってくると感じます。学生も、課題を理解し、それを自分の言葉で伝えるために、自分たちに何ができるのかを考え、実際に行動したいと思うきっかけにもなったようです。

多くの物事を、一部分だけ切り取って判断したり、雰囲気やイメージでとらえたりしがちで、事実とは違って認識することもあります。
開沼先生からは、データを見て数字だけで良し悪しを判断することはできず、その数字の向こうにいる人々に目を向けることの大切さとともに、データ分析など客観的な視点から本質的な課題をとらえ、見過ごしているものに目を向けることの大切さと視点を教えていただきました。

受講生からは、「自分自身もイメージに振り回され、勘違いをしていることが多い。福島に住む私たちが正しい知識を知ることが大切だと思った」「データから見る福島はイメージとはかけ離れていることが分かった」
「もっと福島について知る必要があり、知ったこと分かったことを発信していく必要があると自覚した」「悪いことばかりに目を向けるのではなく、視点を変えてみることの大切さにも気づけた」などの声が多く聞かれ、福島のことを今後学ぶことで、学生である自分たちが何ができるのかを考えることにつながりました。

開沼先生、今後の学びを深めていくきっかけとなるお話をありがとうございました。

<教育><社会貢献>【COC公開授業】H29「ふくしま未来学入門」授業スケジュール

平成27年度より開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うこ とを目指しています。
今年度は、250名の学生と福島県内にお住まいの地域の皆様30名が受講をしています。
・平成27年度の様子 http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=499
・平成28年度の様子 http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

「ふくしま未来学入門」ってどんな科目?
震災・原発事故以降「ふくしま」では、多くの問題が顕在化し、課題先進地域として地域課題の解決と再生が求められています。地域再生をすすめるためには、地域の課題を的確にとらえ、既存の枠にとらわれずに多様なセクターと恊働する課題解決型の思考が必要不可欠です。

福島県のみならず各地域で課題を解決するために様々な取り組みが行われてきていますが、そこでの地域実践は、「ふくしま」の課題解決につながる事はもちろん、これから近い将来日本の社会全体が直面するであろう課題を解決する上でもモデルになると考えられます。

「ふくしま未来学入門」では、地域課題の解決をめざし行動する個人や企業などを講師としてお迎えし、その実践的な取り組みや経験について学びます。また、震災と復興における社会問題や諸現象に対し、学問領域の枠組みを超えて多角的・総合的に考える能力を養うことを目指します。

 

▼画像をクリックするとPDFファイルが開きます。(1.03MB)

 日程
テーマ
講師
1H29
10/6
3・11後の福島を学問にする立命館大学 准教授 
開沼 博氏
2H29
10/13
福島の明日を創るNPO法人富岡町3.11を語る会 代表理事
青木 淑子氏
3H29
10/20
復興の最前線から見える風景と、この時代に生きる私たちの役割浪江町役場 産業振興課 産業創出係長
小林 直樹氏

4H29
11/10
ふくしまキッズとは何だったのかNPO法人教育支援協会
代表理事 
吉田 博彦氏
5H29
11/17
放射能と健康被害:分からないという方法相馬中央病院 内科医
越智 小枝氏

6H29
11/24
原子力災害の社会的影響 ―風評問題のメカニズムとその対策を中心に東京大学 特任准教授
関谷 直也氏
7H29
12/1
自然エネルギー、地産地消という「エネルギー・シフト」について会津電力株式会社 
副社長 山田 純 氏
8H29
12/8
タクシー屋が何でキッチンカー??
福島の未来、何から始めるのか?誰が始めるのか?
郡山観光交通株式会社
代表取締役
山口 松之進氏
9H29
12/15
地域におけるミュージアムの役割とアートの意義美術家/映画監督
藤井 光 氏
福島県立博物館学芸員 川延安直 氏
10H29
12/22
新しい農業のカタチを創る大野農園株式会社 
代表取締役 大野 栄峰
11H29
1/10
未来の子どもに誇れる「今」とは?わかりやすいプロジェクト 国会事故調編
代表 石橋 哲 氏
12H29
1/19
一人ひとりをささえる仕組み-道具としての法弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所 弁護士
津久井 進 氏
13H29
1/26
トークセッション-震災・原子力災害の教訓から一歩を踏み出すコーディネーター
・フリーアナウンサー  大和田 新 氏
・学生 
 理工3年 上石 美咲さん
・いるだけ支援 学生

<教育><社会貢献>平成29年度後期「ふくしま未来学」科目の公開について

地域にお住まいのみなさまへ

「ふくしま未来学」科目を一般にも広く公開します

福島大学の正規授業を「公開授業」として一般に開放している中には、「ふくしま未来学」の指定科目も含まれています。
「ふくしま未来学」の科目は、東日本大震災および原発事故からの教訓や地域再生にむけた実践事例など、それぞれの職場や現場でも活用できる知見を多く学ぶことができます。平成29年度は「ふくしま未来学入門」以外にも、8科目が公開授業となっており、後期は4科目が受講できます。
この機会にぜひ「ふくしま未来学」の授業を体験してみませんか?

(COC)公開授業科目【後期】
後期は、下記の4科目が公開授業です。

(木曜日1限)
  ・(総)災害復興支援学Ⅱ
  ・(総)小さな自治体論
  ・(総)再生可能エネルギー
(木曜日2限)
  ・法社会学Ⅱ

【公開授業(後期)の概要】
●開講期間:平成29年10月~平成30年2月
●受講料:1科目につき7000円または14000円
●定員:1科目につき5名まで
●申し込み期間:平成29年10月2日(月)~10月10日(火)
授業内容など詳しくはこちらのページをご覧下さい
http://www.lll.fukushima-u.ac.jp/b_jyugyou-03.html

●申し込み/お問い合わせ
福島大学 地域創造支援センター
(事務担当:地域連携課)
TEL:024-548-5211
http://www.lll.fukushima-u.ac.jp/b_jyugyou.html

<社会貢献>平成29年度前期「ふくしま未来学」公開授業について

地域にお住まいのみなさまへ

「ふくしま未来学」科目を一般にも広く公開します

 

福島大学の正規授業を「公開授業」として一般に開放している中には、「ふくしま未来学」の指定科目も含まれています。
「ふくしま未来学」の科目は、東日本大震災および原発事故からの教訓や地域再生にむけた実践事例など、それぞれの職場や現場でも活用できる知見を多く学ぶことができます。平成29年度は「ふくしま未来学入門」以外にも、8科目が公開授業となっています。
この機会にぜひ「ふくしま未来学」の授業を体験してみませんか?

(COC)公開授業科目【前期】
前期は、下記の5科目が公開授業です。
(月曜日2限)
・環境経済学
(木曜日1限)
・(総)ふくしま 未来へのヒント
・(総)グローバル災害論
(木曜日2限)
・法社会学Ⅰ
(木曜日5限)
・地域交通まちづくり政策論

【公開授業(前期)の概要】
●開講期間:4月~8月
●受講料:1科目につき7000円または14000円
●定員:1科目につき5名まで
●申し込み期間:平成28年4月7日(木)~4月14日(木)
授業内容など詳しくはこちらのページをご覧下さい
http://www.lll.fukushima-u.ac.jp/b_jyugyou-03.html

●申し込み/お問い合わせ
福島大学 地域創造支援センター
(事務担当:地域連携課)
TEL:024-548-5211
http://www.lll.fukushima-u.ac.jp/b_jyugyou.html

<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第13回 「風評対策に向けた新たな試み」(1/27)

昨年度開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業や個人などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うことを目指しています。今年度は、337名の学生と、公開授業にお申込みいただいた25名の一般の方が受講しています。
(H28ふくしま未来学入門授業スケジュールhttp://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

 

第13回の「ふくしま未来学入門」は、
福島学院大学 准教授 木村 信綱氏
飯坂温泉「祭屋湯左衛門」若旦那 柳沼 公貴氏(若旦那プロジェクト実行委員会 会長)
土湯温泉「ホテル山水荘」若旦那 渡邉 利生氏(若旦那プロジェクト実行委員会 前会長)
3名の方にお越しいただきトークセッションをおこないました。

 

今回のテーマは「風評対策に向けた新たな試み」
福島県の産業の柱のひとつが、観光業です。かつて、修学旅行をはじめ多くの観光客が訪れていました。近年、それまでにぎわっていた温泉街へ訪れる観光客もゆるやかに減少していたものの、さらに原発事故をきっかけとして大きな打撃を受け、観光客が激減しました。
いまだにその影響がつづく中、その風評被害払拭のために新しい取り組みとして注目されたのが「若旦那図鑑」です。

 

若旦那図鑑とは
土湯温泉を紹介する観光ガイドブックをつくろうということで、福島学院大学の木村先生に若旦那から相談がありました。そこで冊子をつくることを手段に、それで何を成し遂げたいのかを何度も話し合い、コンセプトを明確にし、ゼミ生などと一緒につくりあげたものがこの「若旦那図鑑」。

このガイドブックは、土湯温泉をPRする本であるにも関わらず、露天風呂や客室、豪華な料理の写真はもちろん周辺の観光地の案内もありません。あるのは、土湯温泉の若旦那の写真です。できあがった当初、「若旦那図鑑」を見た若旦那のみなさんは、恥ずかしくて旅館においておけないと思ったそうですが、どんどん問い合わせが殺到してきました。

そのうち、他の温泉地でもマネしたいという声が上がったのですが、その取り組みをマネさせたくないという抵抗もありました。その中で、木村先生は「若旦那図鑑が手に入れた宝に賞味期限がある。おいしい料理もいずれ腐るように、話題になっている「若旦那」という言葉もいずれ忘れられる。そのために、”今”使わなくてはいけない」と、説得したのだそうです。この考え方はどのような業界でも当てはまり、その判断をする決断も場合によっては必要です。

ライバルに自分たちが作ったブランドイメージを共有することはなかなかできないことですが、今では土湯温泉に加え飯坂温泉・岳温泉・高湯温泉が連携し、「ふくしま若旦那プロジェクト」が発足しました。
若旦那たちは、日常の旅館の業務を終えたあと、夜遅くに集まり会議を重ね、熱い想いで「若旦那図鑑」をつくっています。4つの温泉地で連携した「若旦那図鑑ditt’s」は、市内各所で配布中です。

 

応援したい気持ちをデザインする
この「若旦那図鑑」の取り組みをとおして、冊子は手段のひとつで、消費者の「応援したい気持ちをどうデザインするか」という考え方に共感した学生も多く、斬新なアイデアと取り組みに引き込まれる授業でした。「ネガティブなイメージで話題になっていることをチャンスと捉えていることに感銘をうけた」「自分も今がやりたいと思っていることをやろうと決めることができた」「ライバル同士が協力してより良いものを創っていくという考え方が参考になった」といった声が多く聞かれました。

「風評被害」の対策として、正しく情報を提供することも方法のひとつですが、この「若旦那図鑑」のようにそこで頑張っている人を伝えることで、多くの人の興味関心を持ってもらうことによる波及効果を感じました。

 

「ふくしま」としての総合力を高める
また、マイナスのイメージをプラスに転換していくときに、個々に頑張ることももちろん大切ですが、全体の底上げをしていくことも求められています。それは、原発事故で打撃を受けたのは「ふくしま」という全体のブランドイメージだからです。
今回、4つの温泉地が連携した「ふくしま若旦那プロジェクト」の取り組みをとおして、「ふくしま」としての総合力を高めることが、風評被害の払拭につながっていくのだと感じました。

震災・原発事故をきっかけに、これまでゆるやかに下降していた人口や観光客の減少、環境問題などの課題が一気に顕在化したことで、それまであったその問題を自分たちの課題として改めて自覚するようになりました。今、福島でおきていることは福島のみならずどの地域にもあてはまります。

今日の講義をとおして、課題解決に向けた課題や解決策のとらえ方、そのための取り組みについて、新しい視点を持つことができたことは、これからどの分野でも必ず参考になると感じた授業でした。

木村先生、柳沼さん、渡邉さん、どうもありがとうございました。

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●ふくしま若旦那プロジェクト
Facebookページ

●土湯温泉 若旦那図鑑
http://wakadan.com/magazine.html

●土湯温泉 若旦那BAR 005(2016年11月オープン)
http://www.gurutto-fukushima.com/detail/index_502.html

●土湯温泉 ホテル山水荘
http://www.sansuiso.jp/

●飯坂温泉 祭屋湯左衛門
http://yuzaemon.jp/

<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第15回スペシャルトークセッションを行います

「ふくしま未来学入門」最後の授業は、スペシャルトークセッションです。

今回は、ゲスト講師に
東京電力ホールディングス(株)副社長・福島復興本社代表の石崎芳行氏をお迎えし、
第1回ゲスト講師のお2人とのトークセッションを行います。

これまでをふりかえるとともに、これからの「ふくしま」をゲストのみなさんと考えながら、
ふくしま未来学入門の授業をとおして「ふくしま」について学んできたことを
それぞれの場所でどう生かし、どのような一歩をを踏み出すのか、
考える時間としたいと思います。

<第15回 「ふくしま未来学入門」スペシャルトークセッション>

●日時:2月10日(金)10:25~11:55
(テスト期間のため、通常の授業より開始が5分遅くなります)
●場所:福島大学L-4教室
●テーマ:「これからのふくしま」から、地域再生に向けたヒントをひもとく(仮)
●ゲスト:
・東京電力ホールディングス(株)副社長・福島復興本社 代表 石崎芳行氏
・フリーアナウンサー 大和田 新氏(第1回ゲスト講師)
・福興浜団 上野敬幸氏(第1回ゲスト講師)

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▼これまでの授業の様子
http://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第12回 「復興支援からの地域づくり」(1/20)

昨年度開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業や個人などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うことを目指しています。今年度は、337名の学生と、公開授業にお申込みいただいた25名の一般の方が受講しています。
(H28ふくしま未来学入門授業スケジュールhttp://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

第12回の「ふくしま未来学入門」の講師は、
田村市復興応援隊の小林奈保子さんと、双葉町復興支援員の芳門里美さんのお二人でした。
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今回のテーマは、「復興支援からの地域づくり」。
特に、小林さんからは「”つなげる”という支援」、芳門さんからは、「妄想から始まるコミュニティ支援」というテーマでお話いただき、その後、丹波史紀准教授をコーディネーターにディスカッションを行いました。

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小林さんは、福島大学の卒業生で、一般企業に就職後、2013年に出身の田村市に戻り、田村市復興応援隊に入隊しました。
田村市は人口約37,000人の町で、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、都路地区(旧都路町)全域が避難指示を受け、一時避難指示解除準備区域に指定されました。その後、2014年4月に避難指示が解除され、住民が帰還を始めました。
田村市復興応援隊の仕事は、主に4つ。ひとつは、帰還した地域住民の思いを実現するサポート。ふたつめは、市や地域住民が主体となる事業のプロジェクト運営支援。3つめは、田村市外・県外の方向けのボランティアやツアー企画。最後にHPやFacebook等での情報発信です。いずれも、応援隊が目指していることは、「(住民が)田村に生まれてよかった」「(外から来た方が)田村っていいね!」と誰もが話すまち。

小林さんは、「復興女子」と呼ばれ、住民からも田村市外や県外の方からも親しまれ、田村市の”顔”とのなってきた存在。しかし、そのなかでも小林さんは、常に「田村にとって必要なことは何か?」を考え続け、葛藤しながらの日々だったそうです。それは、帰還してもなお原発事故の影響を受け、住民同士のつながりが分断された状態が続いていたこと、帰還から月日が経てば経つほど「復興とは何なのか」住民も小林さん自身も分からなくなったことからでした。
そうしたなかで見えた活路は、田村市外や県外の方に田村市に来てもらうことで、住民が「集まる機会」をつくること。外から来る人をきっかけに、住民が主役になる場が生まれ、住民と住民がつながる場が生まれ、住民から「こんなことしたい」という前向きで自主的な動きが生まれたと言います。そうした「他者とのつながりあい、その先に”希望”が見える状態」がコミュニティを再生することであると、小林さんは力強くお話していました。

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芳門さんは、東京都出身で、卒業後にシステムエンジニアとして働いた後、東北地方での活動をきっかけに、2013年より双葉町「ふたさぽ」の復興支援員として、双葉町のコミュニティ支援を担当しています。
双葉町は、人口約7,000人の町で、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、町全体の96%が帰還困難区域に指定され、今もなお、全町民が全国各地(38都道府県)に避難しています。コミュニティの分散、世帯分離により、世代間交流の減少や地域交流の減少が大きな課題となっています。
そうしたなかで、復興支援員から見た双葉町の課題は、住民から「(○○が)無くなった」「(○○が)できなくなった」という声が聞かれること。芳門さんは、復興支援員の存在を「住民の生活に寄り添う、その時間や空間に溶け込むこと」だといい、「無くなった」が「これならある!」、「できなくなった」が「これならできる!」という住民の声に変えることが、私たちの仕事だと言います。

避難生活が6年続き、離ればなれになっている住民からの代表的な声として多くあるのは、「ふるさとの今を知りたい」「双葉のみんなに会いたい」ということ。そうした声に応えるべく、ふたさぽでは、「若者が町に関わることの場づくり」や「復興支援員が見た町民の姿を避難先の住民に報告・動画を上映する」という取り組みを行っています。町の若者が町に関わる活動をすることで、町民が喜ぶ。町民が町民に直接言葉を伝えたり、姿を見せたりする。そうした、町民の声を支援員が町民に対して近くで客観的に伝えながら、町民同士が、話を聞く・伝える場づくりをすることが、コミュニティ支援に必要だと言います。
そこで、住民の方々に寄り添う側に大事なのが、「妄想力」。町民のどんな姿を見たら自分が楽しいかを妄想する。そのときの町民のニヤニヤした表情を妄想する。「○○しなければ」ではなく「○○したい」を考え実行に移す。困難な状況だからこそ、そうしたポジティブに未来を描き、できることを積み重ねることが、人々に希望と進む勇気を与えるのだと考えさせられました。

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学生からは、「お二人に共通していた”きっかけづくり”が必要だと分かった」「”復興”にこれが正解というのはないと思った」「震災の被害は特定の場所だけと思っていたが、目に見えないだけで、被害を受けた地域は想像以上に広いと気づいた」「講義を聞いて、いつまでも復興だ、支援だと言うのではなく、第三者でいることや受け身姿勢でいることは良くないと思った」という感想が聞かれました。震災から7年目に入ろうという今も、地元やその町の方々に寄り添い続ける若い女性のお二人を身近に感じた学生も多く、「自分の地元のために何ができるのかを考えたい」と、学生たちは、自分に置き換えて考えていたようでした。

小林さん、芳門さん、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

★田村市復興応援隊:http://tamura-ouentai.org/ 
 (運営団体: NPO法人コースター http://costar-npo.org/
★双葉町復興支援員(ふたさぽ): https://futasapoblog.wordpress.com/
 (運営団体: 一般社団法人RCF http://rcf311.com/

<教育><社会貢献>【ふくしま未来学入門】第11回 「いるだけ支援」って何だ!  ・・・Just be there(1/6)

昨年度開講した「ふくしま未来学入門」
この科目は、地域課題の解決をめざし行動する企業や個人などを講師としてお迎えし、取り組みや経験について具体的な事例をもとに学び、課題解決型の志向を養うことを目指しています。今年度は、337名の学生と、公開授業にお申込みいただいた25名の一般の方が受講しています。
(H28ふくしま未来学入門授業スケジュールhttp://coc.net.fukushima-u.ac.jp/?p=1169

11回目の授業は、本学行政政策学類教授である、鈴木典夫先生を講師にお迎えしました。
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鈴木先生の授業では、災害ボランティアセンターが取り組んでいる「いるだけ支援」を中心にお話ししていただきました。
いるだけ支援とは、仮設住宅に学生が居住しながら(ご近所づきあいをしながら・学校に通いながら)簡易な生活支援・声がけをし、引きこもり防止に寄与する活動です。

福島県では、今も避難生活を余儀なくされている方がたくさんいます。避難生活が長引き、介護が必要になったり、心の健康が損なわれる方もいらっしゃいます。災害関連死は、災害による直接的な死因ではなく、避難途中や避難後の死因について、災害との因果関係が認められるものをいいます。この災害関連死が岩手県宮城県に比べると、福島県は多い傾向にあります。

鈴木先生が顧問を務める本学の災害ボランティアセンターでは、発災直後から、様々な活動を行ってきました。しかし、仮設住宅に時々行く活動だけではわからないことが多く、足湯などでは、若い人の声が聞こえるだけで心が和むという声が聞かれていました。そこで、一人の生活者である被災者によりそい、時間を共有すること、これまでの先生の経験から仮設住宅にはだれかが常駐するべきだと考え「いるだけ支援」が始まりました。
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以前あるテレビ番組で放送された、いるだけ支援の取り組みをまとめた映像を講義では流していただきました。映像では、いるだけ支援の2人の学生が、仮設住宅で奮闘していました。学生がただそこにいるという存在ではありますが、学生がいることで住民の方々の気遣いや心配、何かしてあげたいという気持ちが生まれていました。学生は住民がつぶやいた一言から、これをやってあげよう、笑顔が見たいとがんばります。学生たちはどんどん成長し、住民の方々は、笑顔でいきいきとしていくのがわかります。

映像のあと、先生は「最近人の心の機微にふれたことがありますか」と投げかけました。心の深い部分、そして、人の心の動いた瞬間やその表情にふれる機会は、ほとんどないのではないでしょうか。人に真剣に向き合うこと、心の機微にふれることは、学生にとって非常に貴重な経験になっていると感じました。

先生は、いるだけ支援は、災害時の特別な支援ではないということも強調されていました。被災者支援ではなく、地域を再生する営みを続けているという言葉が印象的でした。
東日本大震災から5年が経過し、まもなく6年目を迎えます。何か支援をするというより、そこで出会った住民の人に、会いたくなったらまた会いに行くということが大切になってきているといいます。それは、あなたを忘れてないですよ、あなたの存在自体が大事ですよと伝えることが大きいのかもしれません。

学生の感想では、いるだけ支援の取り組みに感銘を受けた、自分も取り組んでみたいという声が多数ありました。この授業の受講者の中には、現在いるだけ支援で仮設住宅に住んでいる学生がおり、今の様子などを話してもらいました。この講義によって、多くの学生が一歩ふみだす機会になってほしいと強く思いました。
鈴木先生、ご多忙のところ、貴重なお話をありがとうございました。
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