学長及び事業担当者の挨拶

福島大学 学長からの挨拶

福島大学長 中井勝己

福島大学長 中井勝己

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から丸7年が過ぎましたが、
被災地にある福島大学は、震災直後からさまざまな復興支援活動を行ってきました。そして、その復興への想いとノウハウを次の世代に継承していくべく、また、復興に貢献できる人材を育成するため、COC事業「ふくしま未来学」を平成25年度から平成29年度までの5年間実施してきました。

「ふくしま未来学」は、原子力災害からの経験を踏まえ、地域課題を実践的に学びながら地域再生を目指すもので、体系的なカリキュラムにより、「地域課題を発見する力」「地域を分析する力」「地域を興す力」「地域をつなげる力」「地域を伝える力」を養います。特に、コア科目である「ふくしま未来学入門」では、多彩な講師陣をお招きし、現在地域で実際に行われている取り組みについて話を伺うことで、受講生の地域と関わるための素養を身につけ、課題解決型の思考を養いました。

そして、「むらの大学」では、川内村や南相馬市などの被災地域に実際に複数回宿泊滞在し、地域住民の方々と交流しながら地域の課題を解決するための提案まで行ってきました。これらの科目にはこの5年間(正確には授業を開始した平成26年度から4年間)延べ1205名も受講し、福島の現状と課題、そして復興に携わることの重要性を身をもって学んでくれたと思います。

平成30年2月には、事業の最終まとめとなるCOCシンポジウム「地域とつながり、共に学ぶ~『ふくしま未来学』の5年間の歩みとこれから~」を開催し、10名の学生がこれまで学んできたことを発表しました。学生の中には県外出身者もいて、「ふくしま未来学」の学びの中で、原発事故の被災者と被災地域の実情を学び、被災地復興を「自分事」としてとらえ、自ら考え、行動をおこし、地域の方と親密な関係を築きながら一生懸命取り組んできたことがよくわかります。また、「むらの大学」での様々な経験が、卒業後の進路選択に繋がった学生もいます。そのような姿を知り、通常の授業ではなかなか身に付けられないであろう主体性や課題意識、そして何より復興への強い想いを持ってくれたことに私も深い感銘を覚えました。

COC事業は文部科学省からの補助期間が終了し、一区切りを迎えますが、この事業の根幹にある「被災地復興」と「課題解決型学習」の理念は、福島大学の教育の柱として位置付け、引き続き福島の復興・再生に貢献できる人材を育成していきます。

ふくしま未来学推進室 室長からの挨拶

三浦室長 2016-06-09 18.06.05 - コピー

福島大学 COC推進室室長      三浦浩喜

 

 

 

 

 

 

 

 

福島大学COC事業「ふくしま未来学」は、原子力災害事故からの地域再生を目指すことを目的とした教育、研究、社会貢献の広い領域にわたる活動です。この事業の中心は、総合科目「むらの大学」で、年間を通した講義の受講、学生同士のグループ活動、様々な準備を経て、地域に泊まりこみで実習、大学で実習において学んだことを深め、広げるという授業科目です。今日の大学教育のキーワードである「アクティブ・ラーニング」の典型的な実践ということもでき、学生達は課題を自分事としてとらえ、思い思いのアプローチで課題に深く切り込んでいます。

どうして今、「アクティブ・ラーニング」なのでしょうか? 「知識偏重」などと批判されることが多い昨今、知識の大小だけで問題の解決に結びつけることができないのは言うまでもありません。しかし、問題を深く理解し、様々な方向から捉えていく上で、アカデミック・スキルの重要性は昔と何ら変わることはありません。その上で今日大切とされてるのは「コンピテンシー」と呼ばれる、個別知識によらない横断的な能力です。コミュニケーションの力であったり、問題解決能力だったり、創造性だったり、協働能力だったりします。こうした能力の多くは、現実的な場面の中で身につくとされます。原子力災害事故からの地域再生を目指すという課題には、教科書に載っているような「模範解答」はありません。「解のない問い」です。地域住民と話し、学生同士で考え、失敗を繰り返す、雲をつかむような活動こそが、まさにコンピテンシーを身に付ける重要な場面と言えます。さらにこうした活動の中で「当事者意識」を育て、「レジリエンス」や「共感力」を鍛えることにつながります。アクティブ・ラーニングとはまさにこうした「21世紀型能力」を育てる上で欠かすことのできない学習方法ということができます。

「ふくしま未来学」は今年で4年目となり、来年度で完成の年を迎えます。5年間で得た知見を、大学の基盤カリキュラムに還元していくという重要な課題に、残された1年余りで取り組んでいく所存です。今後ともよろしくお願いいたします。

事業担当からの挨拶

前川 直哉

震災・原発事故から7年以上の月日が経過した今も、福島県内にはたくさんの課題が山積しています。「ふくしま未来学」は、これらの課題について学生が実践的に学びながら、地域再生を目指すプログラムです。

コア科目である「むらの大学」は、全学類の学生を対象とした授業です。学生は南相馬市または川内村のいずれかの地域を舞台に、フィールドワークとプロジェクト型の学習をくり返しながら、それぞれの地域が抱える課題について学び、生活・歴史と文化・農業など自身の関心に応じて設定したテーマについて学習を深めていきます。フィールドワークは年に3~4回実施され、夏休みには4泊5日で現地に滞在します。現地では様々な立場の住民の方々からお話を伺うほか、農作業や地元のお祭りなどにも参加し、それぞれの地域の「いま」を五感で体験することができます。
フィールドワーク後には少人数のグループに分かれ、自分たちが設定したテーマについてプロジェクト型の学習を行います。地域が抱える課題は何か? 大学生の自分たちに何ができるのか? など、正解が一つではない問いに対し、仲間や地域住民の皆さんと一緒に考えていくことで、課題発見・解決能力や協働力、実行力、そして<楽しみながら学ぶ力>などを身につけていきます。

正解のない問いについて仲間とともに考え、実践していく力。これこそが福島再生の鍵であり、将来を見通しにくいこれからの日本で、そして世界で、必要とされる力です。「むらの大学」をはじめとする「ふくしま未来学」で多くの学生がこうした力を養い、「自分が何のために学んでいるのか」のヒントを手にすること。そのためのプログラムづくりが、私たちの使命です。

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